東海労働金庫ディスクロージャー2024 資料編
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「コア資本」とは 2014年3月末から適用されたバーゼルⅢの基準では、規制される自己資本を普通株式(普通出資)・内部留保等を中心とした「コア資本」と定義し、自己資本の質の向上を促しています。協同組織金融機関については、さらに優先出資をコア資本に算入することが認められており、普通出資+内部留保+優先出資+(△)調整・控除項目で構成されます。「コア資本に係る基礎項目」とは 告示では、コア資本に算入できる項目は「コア資本に係る基礎項目」として定められております。算入できる項目は、普通出資、非累積的永久優先出資及び一般貸倒引当金等があげられ、2012年度までの旧告示において資本として認められていた劣後ローン等については算入できなくなりました(ただし、経過措置が設けられています)。「出資金」とは 会員の皆様より出資いただいた金額で、万が一の際に当金庫が負う債務に対する最終的な引当てになる基本財産の額です。「非累積的永久優先出資」とは 優先出資とは、剰余金の配当の支払順序が普通出資者よりも優先する出資ですが、配当可能剰余金の額が減少した場合には、あらかじめ約束された優先的配当の額を下回る配当となることがあります。この場合に、下回った相当額を、翌期以降に繰延べして支払う「累積型」に対して、翌期以降に繰延べられないもののうち、満期のない社債型優先出資が「非累積的永久優先出資」とよばれるものです。「資本剰余金」とは 「純資産」のうち「資本準備金」と「その他の資本剰余金」で構成されております。「資本準備金」は、時価等での発行となる優先出資について、発行価額の全額または2分の1を出資金勘定とし、残額を出資金勘定とは別の準備金という枠組みに組み入れることができます。この準備金が「資本準備金」とよばれるものです。「その他資本剰余金」は、債務免除益や国庫補助金等を計上する贈与剰余金や、自己株式の売却益等から成っており、資本準備金とともに資本剰余金を構成します。通常、ろうきんの取引から生ずることはありません。「利益剰余金の額」とは 万が一の際の損失を補填するために留保している「利益準備金」及び「その他利益剰余金」から構成されています。「利益準備金」は、労働金庫法第60条第1項の規定に基づき、当金庫が出資金の総額に達するまで毎事業年度の剰余金の100分の10に相当する金額以上の金額を、万が一の際の損失を補填するための準備金として積み立てている法定準備金を指します。 「特別積立金」は、当金庫が自己資本の充実を図り、より安定した事業活動を継続していくために、以下のとおり各目的で積み立てている積立金の合計額です。⑴金利変動準備積立金市場金利の変動に耐えられる財務的な基盤を確保するための積立金のことです。⑵機械化積立金事務処理等の機械化に伴う将来的な追加投資に耐え得る財務体質を作り上げるための積立金のことです。⑶配当準備積立金配当に要する利益を計上できない場合に備えて、配当原資を確保するための積立金です。⑷経営基盤強化積立金将来の支出増大等に備えて経営基盤強化に資するための積立金です。「外部流出予定額(△)」とは 当期の剰余金のうち、出資配当や利用配当のような形で会員の皆様へ還元することが予定されるものを指しています。「上記以外に該当するものの額」とは 出資金や資本剰余金等以外のもの、例えば処分未済持分や自己優先出資等の額が含まれます。「一般貸倒引当金」とは 引当金は将来の費用または損失に対して引き当て(積み立て)るものです。当金庫においては一般貸倒引当金、個別貸倒引当金、退職給付引当金、役員退職慰労引当金、賞与引当金及び睡眠預金払戻損失引当金の六種類を引き当てております。 このうち、一般貸倒引当金は、特定の債権の貸倒に対して引き当てるというものではありません。貸出金の償却という特定の目的のための引当という制約はありますが、資産の部の単なる控除項目というよりは資本としての色彩が強いと見ることができ、自己資本の額として「コア資本に係る基礎項目」への算入が認められています。(算入上限は信用リスク・アセットの額の合計額の1.25%)「土地再評価額と再評価直前の帳簿価額の差額」とは 労働金庫が保有している事業用土地を時価(公示地価等)で評価し、それまでの帳簿価額を上回った場合には、その「差額」を貸借対照表に有形固定資産として計上することが認められていました。 2012年度までの旧告示では、この「差額」の45%は自己資本の補完的項目(Tier2)に加算することが認められていましたが、2013年度以降適用された告示では自己資本に算入できない取扱いとなりました。 経過措置を適用した場合、2014年3月31日から2024年3月30日までの10年間、各時点の「差額」の45%を基準とする算入可能額をコア資本へ算入(算入割合は年々減少)することが可能でした。一方で、当該土地の信用リスク・アセットの額は、経過措置適用期間中は再評価額に基づいて計算した額を信用リスク・アセットの額の合計額に算入していました。 当金庫ではこの経過措置を適用しておりません。「コア資本に係る調整項目」とは 2013年度以降適用された告示では、損失吸収力の乏しい資産や金融システム全体のリスクを高める資産等について、「コア資本に係る調整項目」として定め、コア資本から控除する扱いとなりました。算入される項目は、無形固定資産や前払年金費用、繰延税金資産等があげられます。「のれん及びモーゲージ・サービシング・ライツに係るもの以外の額」とは 無形固定資産のうち、のれん及びモーゲージ・サービシング・ライツに係るもの以外のその他無形固定資産(ソフトウェアやリース資産、電話加入権等)は、市場換金性が乏しく、いざという時に売却しても損失の吸収にあてることが事実上困難であることから、「コア資本に係る調整項目」としてコア資本から全額が控除されます。「証券化取引に伴い増加した自己資本に相当する額」とは 証券化取引に伴う債権譲渡により売却益が発生した場合、売却収入から取引関連費用及び売却原価を控除した額(税効果勘案後)が「証券化取引に伴い増加した自己資本に相当する額」です。「証券化エクスポージャー」とは 証券化取引に係るエクスポージャーのことです。「証券化」とは、債権や不動産等一定のキャッシュフロー(利息収入等)を生む資産を裏付けとして証券等を発行し、第三者に売却することです。「エクスポージャー」とは、リスクにさらされている資産等の金額のことです。「前払年金費用の額」とは 退職給付会計では、年金資産の金額が退職給付債務の金額を上回る場合、前払年金費用として資産計上されますが、必ずしも金庫が損失の吸収のために自由にあてることができる財産ではないことから、「コア資本に係る調整項目」としてコア資本から控除されます。「自己資本の額((イ)−(ロ))」とは 以上のコア資本に係る基礎項目の額からコア資本に係る調整項目の額を控除した金額が、自己資本比率計算で使う自己資本の額となります。8

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